(3)寡婦年金
@支給要件
次のすべての要件を満たしている場合に、死亡した夫の妻に支給されます。
  1. 死亡した夫が、死亡日の前日においてその月の前月までに第1号被保険者としての保険料納付済期間と保険料免除期間(学生納付特例、納付猶予期間を除く)を合計して10年以上あること。
  2. 夫の死亡当時、夫によって生計を維持し、かつ夫との婚姻関係(事実婚姻関係を含む)が10年以上継続し、かつ妻が65歳未満であること。
  3. 死亡した夫が、障害基礎年金の受給権者であったことがないこと、または死亡した夫が老齢基礎年金の支給を受けていないこと。
A支給期間
妻が、60歳から65歳に達するまで支給されます。
夫の死亡が妻が60歳前の場合→60歳に達した日の属する月の翌月から支給
夫の死亡が妻が60歳以後の場合→夫の死亡日の属する月の翌月から支給
B年金額
死亡した夫の第1号被保険者期間に基づく老齢基礎年金額の4分の3に相当する額。

(4)死亡一時金
死亡一時金は、夫も受け取ることができる国民年金の独自給付です。
@支給要件
死亡日の前日において、死亡日の前月までの第1号被保険者としての期間の保険料納付済期間が3年以上ある者が死亡した場合で、遺族が遺族基礎年金を受けられない場合に支給。
従って、国民年金の第2号被保険者期間しかないような場合(ずっとサラリーマンだった場合など)には、死亡一時金は支給されません。
また、老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けたことがある者が死亡したときには支給されません。
A遺族の範囲及び一時金を受ける順位
一番上位にあるものが、死亡一時金を受けることができます。
1. 配偶者
2.
3. 父母
4.
5. 祖父母
6. 兄弟姉妹
子に支給する遺族基礎年金については、子と生計を同じくするその子の父または母があるときは、遺族基礎年金の支給が停止されることから、死亡一時金を支給することとしていますが、その場合の死亡一時金は、死亡した者の配偶者であって、死亡の当時、死亡した者と生計を同じくしていたものに支給されます。
B支給額
保険料納付済期間 支給額
3年以上15年未満 120,000円
15年以上20年未満 145,000円
25年以上25年未満 170,000円
25年以上30年未満 220,000円
30年以上35年未満 270,000円
35年以上40年未満 320,000円
付加保険料を36月以上納めていた場合は、8,500円が加算されます。
C支給の調整
死亡一時金の支給を受けることができる遺族が、同一人の死亡により同時に寡婦年金を受けることができるときには、その者の選択により、いずれか一つを支給し、他は支給しないこととなります。
(例)
夫が死亡後に再婚した場合
再婚すると、寡婦年金の受給権は消滅します。従って、60歳前に再婚するのなら、死亡一時金を選択したほうが有利になります。
死亡一時金を受け取れる妻が国民年金と厚生年金(1年以上)の両方に加入していた場合
妻は60歳になると、寡婦年金と老齢厚生年金の2つの年金を受給する権利が生じますが、どちらか1つの年金しか受け取れません。
その場合には、死亡一時金と老齢厚生年金を5年間受給したときの合計額を計算し、寡婦年金(5年分)の額と比べて、有利なほうを選択するようにします。
次のページでは、遺族厚生年金について説明します
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